2007年07月21日

ゾディアック

〈原題・製作年〉Zodiac(2007)
〈製作国〉アメリカ
〈監督〉デヴィッド・フィンチャー
〈原作〉ロバート・グレイスミス
〈製作総指揮〉ルイス・フィリップス
〈製作〉マイク・メダヴォイ、アーノルド・W・メッサー、ブラッドリー・J・フィッシャー、シーアン・チャフィン
〈脚本・製作〉ジェイムズ・ヴァンダービルト
〈出演〉ジェイク・ギレンホール、マーク・ラファロ、ロバート・ダウニー・Jr.、アンソニー・エドワーズ、イライアス・コーティーズ、ドナル・ローグ、ダーモット・マーローニー、ブライアン・コックス、クロエ・セヴィニー他
〈一口メモ〉最近デヴィッド・フィンチャー作品に飢えていたので、ちょうどいいタイミングで公開された新作を観に行ってまいりました。結論から言うと…あまりのつまらなさにビックリ仰天(笑)。「これがあの『セブン』と『ゲーム』、そして『ファイト・クラブ』を作った監督と同じ人(の作品)か!?」と、徳丸以外の観客は女性一人というガラ空きの上映館内でひとり憤慨し、あげく「こんな映画観るな!ちっともおもしろくないぞ!!」と、映画館のロビーで出会った人たちみんなに大声で教えてあげたい衝動を押さえるのに必死でした(←もはやただのアブナイ人)。

基本的に、徳丸が映画館まで行って観る作品はハズレが少ないのですが、今回ばかりは久々の大ハズレ(笑)。相手がデヴィッド・フィンチャーなだけに期待はしてたんだけど、テレビで見かけた映画予告を見るかぎり、キャストもパッとしないし、徳丸の琴線に触れるポイントもなかったので「今回は期待できないかもな」とは思ってたんですよね(←どっちやねん)。悪い方の予感が当たっちゃいました。

今から約40年前、アメリカで自ら〈ゾディアック〉と名乗る連続殺人鬼がホントにいたらしいです。で、原作者のロバート・グレイスミスが書いた本を基に、事件関係者たちへの綿密な取材を重ね、映画化にこぎつけたらしいです。パンフ読むかぎりスタッフたちはけっこう真剣に取り組んでるようなんだけど、不思議なことに画面で見るかぎり、そんな熱意なんざちっとも伝わってこないんだよね。おそろしいほど淡々としてる。つうか、フィンチャーがスティーヴン・ソダーバーグに相談してこういう「素っ気ないほどシンプル」な撮り方にしたんだと。「今までのやり方はぜったいにしないように心がけた」んだそーな。ほう、じゃあアンタから今までのやり方(パンフによれば「スタイリッシュな映像とカメラワーク」)を取ったら一体何が残るんだって話だな。ソダーバーグの戯れ言なんざ真に受けたのがそもそもの間違いだろ(笑)。

徳丸がフィンチャーの何が好きかって、一番に〈ストーリーの集約性〉なんだよね。コレはガイ・リッチーにもいえる事なんだけど、こんがらがった糸のようにもつれたお話を、最後の最後でまとめあげてしまう力量。そこにカタルシスがあるんですが、本作にはそのカタルシスは微塵もありません。ナゼなら現実の〈ゾディアック事件〉は解決されていないからです。犯人は依然ナゾのまま。というワケで、必然的に「素っ気ないほどシンプル」に、現実に忠実に映画化された本作は、現実と同じく何の救いもありません。そもそもフィンチャーが本作で主として描きたかったのは何なのか、徳丸にはソレがわからない。殺人犯ゾディアックは暗号文を新聞社へ送りつけてますが、その暗号・記号解読を主に据えるのかと思えばさにあらず。「素人夫婦が解いちゃった」でさらっと流されます。では〈ゾディアック事件〉に絡んだ男たちを主に据えるのかと思ったら、気合い入ってるのは主演(原作者役)のジェイク・ギレンホールだけじゃん。結局何十年もしつこくこの事件を追ったのは原作者のみで、あとの人たちは忘れよーとしてるじゃん。だもんでジェイクの熱演ぶりはわかるんだけど(笑)、もともとの本筋自体がなってなけりゃ空回りするだけだって話なんで。「実際の事件を基に描いてるんだから、そこから逸脱できない」って言うんなら、映画(=娯楽)の題材になんかするなって話ですよ。テレビのドキュメンタリー番組にでもすれば。

で、ストーリーの方もこれまた、ざっとしてるんですよ(笑)。細かい部分をはしょられてたり、前フリだけでオチがなかったり。でもホントはもっともっと細かく周到に練られてあったんだろうな〜とは思うんですが(希望的観測で)、いかんせんそこは映画(=娯楽)ですから、パンフでフィンチャーがボヤいてるとおり、そこかしこでカットせざるを得ない部分があったんではないかなと。だからこそ映画(=娯楽)としてもドキュメンタリーとしても、中途半端な出来になっちゃったんじゃないかなーと。ロバート・ダウニー・Jr.の扱いなんかヒドイですよー(笑)。彼の役はゾディアックが手紙を送りつけてくる新聞社の記者なんですが、事件を追ううちにそれにのめり込み過ぎて、やがて身を持ち崩していく、みたいな役柄なんです。しかしその持ち崩し方が説明不足なので、とても唐突に見えます。ある匿名の情報主からの有力情報を聞き込みに行く場面があるんですが、その前フリが「ゾディアックのワナなんじゃない?」ってやつでして、そっから話がふくらむのかなーと思ったら、まっっったくそんな事もなくフツーに情報を得てきて(笑)、有力情報をスッパ抜くワケです。で、明らかにその出来事を境に彼は破滅的に変貌していくんですが、「結局その匿名の主は誰やってん」とか、「そっから何で“オレはなんでも知ってる。でも核心は言わないよー”的スタンスに立ってしまうねん」とか、ツッコミどころだらけなワケで。だいたい後半でジェイクに情報提供する匿名電話もロバート・ダウニー・Jr.の声でしょー。で、ソレをキッカケにジェイクが家まで行った容疑者のオッサンは一体何やねん。ここいら辺りはもう、詰め込まれ過ぎててアタイには話が見えないよ(泣)。そりゃ徳丸はアホだから理解できないのかもしれませんけど、今までのフィンチャー作品ならこんな事なかったんですよ(←力説)!途中までどんなに難解であっても、クライマックスで必ず「あーなるほどー」と徳丸でもわかるよーに納得させてくれてたのがフィンチャー作品だったのに!それなのに!なんやねんこの煮え切らん中途半端さ加減はー!

ネタ的に、こういう快楽殺人モノって新進気鋭の若手映像作家とかが好んで使いそーなモチーフじゃないですか。だからそーいう、これから伸びるっていうよーな若ゾーが作った作品だってんならイイんですよ。話はわかるんですよ。しかしフィンチャーがこんなの作ってどーする。というより、フィンチャーだからこそ、もっともっとヒネって欲しかった。現実の事件が解決されてなかったって、こっちは映画(=娯楽)なんだから。もっと大胆に、より深く犯人像に迫って欲しかった。そしてあの独特のカタルシスを実現して欲しかった。やればデキる人なのになぁ(←って知り合いか)。次こそがんばれ!
posted by 徳丸虎龍 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | お気に入り度:オイオイ! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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